抄録
絹フィブロインの合成アミノ酸モデルであるpoly (Gly-L-Ala)およびcopoly (L-Ala-Gly, L-Ser-Gly) (2:1)の構造を究明するため, X線回折,赤外吸収スペクトルおよび円二色性の測定結果を通して,ポリペプチド主鎖にセリシン残基が導入されることによる構造の変化を検討した。X線回折および円二色性による分子形態測定の結果には,試料間の構造上の差異が見られない。赤外吸収スペクトル測定によると, copoly (L-Ala-Gly, L-Ser-Gly) (2:1)はpoly (Gly-L-Ala)より明瞭な逆平行β構造をとっていることが明らかとなった。実験結果をもとにセリシン残基がポリペプチド鎖に導入されることによる構造上の効果を検討し次の結論を得た。
copoly (L-Ala-Gly, L-Ser-Gly) (2:1)のポリペプチド主鎖はセリン残基のCaの位置を中心にしておりたたまれ,分子鎖はcross βあるいは逆平行β構造に結晶化する。これに対し, poly (Gly-L-Ala)の分子鎖は部分的に逆平行β構造をとるものと推論した。