抄録
Crystal Vlolet (CV)の光反応における対イオンの影響について調べた結果は次のようにまとめられる。
1)脱気イソプロピルアルコール中では対イオンの影響を受けないが,脱気アセトニトリル中では顕著なその効果が現れた。この対イオンの反応性は(COOH) (COO)-〓Cl>CH3C6H4SO-3の順になり,これらの対イオンの電子供与性の順と一致する。2)イソプロピルアルコール中で対イオンの効果が見られなかった理由は,その高いイオン解離力と水素供与性に起因する。3) PVA中におけるCVの可視光照射により,どの対イオンの場合も相当するトリフェニルメチルラジカルが生成した。ラジカルの生成は湿度の増加に伴い著しく促進された。PVA中のCVの光還元は水の解離したOH-から染料カチオンへの電子移動により進行する。4)ナイロン中のCVの光還元もまた水分の添加により促進された。従ってCVの光還元における電子移動の反臨性はOH->(COOH) (COO)-〓Cl->CH3C6H4SO-3の順になり,これらのアニオンの電子供与性の順とよく一致した。