繊維学会誌
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セルロース・アミノ酸複合体による金属イオンの吸脱着
佐藤 俊彦本村 繁憲大野 泰雄
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1985 年 41 巻 6 号 p. T235-T240

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抄録

セルロースと2, 4-トリレンジイソシアナート(2, 4-TDI)の反応により,イソシアナート基を有する反応性セルロース中間体(イソシアナートセルロース)を合成し,有機溶媒中でのアミノ酸との反応を検討した。その結果,窒素雰囲気中,ジメチルスルホキシド(DMSO)で, 30°C, 48時間の反応で,セルロース・アミノ酸複合体が合成されることが明らかとなった。又セルロース・アミノ酸複合体中のアミノ酸結合量は0.360mmol/g~0.747mmol/gであった。
さらに合成したセルロース・アミノ酸複合体について種々の金属イオンの吸着性を検討した。その結果,セルロース・アミノ酸複合体は銅および鉄イオンに対し高い吸着性を示した。又システインとのセルロース誘導体は200ppm溶液中の水銀イオンを完全に吸着した。その場合の分布係数はKd=1.63×103であった。セルロース・アミノ酸複合体に吸着された銅,亜鉛,カドミウムおよび鉄イオンは2N-HCl又は4N-HClで100%脱着し,それらの誘導体は再吸着性を示した。

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