繊維学会誌
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高分子基質上クリスタルバイオレットの光退色に対する温度,湿度の影響
戸田 玉子飛田 満彦
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1990 年 46 巻 4 号 p. 155-162

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抄録

ナイロンフィルム中のクリスタルバイオレット(CV)の光退色におよぼす湿度,酸素の影響を詳細に検討した。その結果,ミヒラーズケトン(MK)の生成には水分と酸素が共に必要であることが明らかとなった。さらにナイロンおよびポリエステルフィルム(PET)中のCVの光退色におよぼす温度と湿度の影響を速度論的に解析した。両フィルム中において染料の退色速度は温度,湿度の上昇とともに加速された。PETではナイロン中に比べ退色が遅い傾向となった。溶液中ではCVの量子収率にほとんど経時変化はないが,フィルム中の量子収率は時間とともに減少し,減速効果が認められた。フィルム中における相対量子収率(φ)とλmaxにおける吸光度(A)の関係を次式で示した。φ=β(A-a0)m式中のパラメーターmは時間による減速のし易さを示すものである。m値におよぼす温度、湿度の影響を比較検討した。

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