抄録
疎水性高分子のポリスチレンやポリ塩化ビニルから調製した膜はアルコール水溶液から水を選択的に透過することを以前に報告した。この透過分離機構をさらに明らかにするために,本報では疎水性高分子であるポリ(ビニルp-tertブチルベンゾエート)の膜を調製し,この膜を用いてアルコール水溶液の透過分離特性について検討した。この膜はパーベーパレーション(PV)とエバポミレーシェン(EV)の両方法において,アルコール水溶液から水を優先的に透過した。しかしながら,膜内にはアルコールがきわめて優先的に取り込まれていることが明らかとなった。この結果は,膜との親和性が大きいアルコール分子は膜内に吸着されやすいが,膜内での拡散が困難となり,一方,膜との親和性の小さい水分子は膜内を拡散し易くなるため,水分子が優先的に透過することによるものと結論した。