抄録
山口義行氏は資産インフレ(バブル)の形成について以下2つの原因を挙げる。①ユーロ円インパクト・ローンの増加が不動産バブルを形成した。②都市銀行の個人および中小企業向け融資攻勢が中小金融機関の貸し出し機会を奪い、その結果中小金融機関の証券信託預け入れが急増して証券バブルになった。
しかし乍ら①はユーロ円インパクト・ローンの増加というよりむしろ外貨インパクト・ローン(外貨インパクト・ローン残高は「全国銀行」貸出残高に含まれる)の増加によるところが大きい。②についても、金融機関(都市銀行及び中小金融機関)の特金、ファントラの預け入れは中小金融機関より都市銀行の方が圧倒的に大きく、金融機関よりもむしろ事業会社などの方が大きい。従って中小金融機関の証券信託預け入れ急増が証券バブルを招いたというのは誤りであるということを指摘しておきたい。