抄録
P300 spellerは,考えただけで文字入力が可能となるBCIアプリケーションである.しかし,特徴量として用いるP300のSN比が小さいため,しばしば信号の加算平均が行われている.そのため,結果として文字入力の判別正答率は改善されるが,加算数を多くするほど,入力速度は低下してしまう.これに対し筆者らはこれまで,信頼度に基づく自動再送要求手法(RB-ARQ)を提案し,BCIの入力速度の低下を抑えつつ,正答率の改善が行えることを示してきた.一方,誤判別結果呈示により誘発される誤り関連電位(ErrP)を,誤り訂正に用いることができることが報告されている.そこで本稿では,BCIにおける判別性能のさらなる改善のため,RB-ARQと誤り関連電位に基づく誤り訂正の組み合わせ手法を提案する.実験の結果,これらを組み合わせることで,P300 spellerの性能を平均で40%改善できることを確認した.