抄録
住宅街における建物の壁面色彩には、統一性を好む群(統一群)と、統一性を好まない群(非統一群)という2者の存在が明らかになっており、両群の評価を維持させるためには、壁面の色彩を暖色に統一することが最低限の条件であるということを示唆した先行研究がある。しかし、両群にとって良好な壁面色彩列の提案はこれまでされてこなかった。従って本研究では、建物の形態に変化を与え、両群ともに好まれる都市景観列を提案することを目的とする。このとき、色彩における統一群と非統一群がそれぞれ形態の変化に対してどのような嗜好の違いがあるか、時系列解析を用いて分析し、検討を行う。実験の結果、壁面の色彩の嗜好は、建物の形態の変化の嗜好とある程度共通する事が判明した。形態における統一性についても、両群で支持が分かれることが判明した。しかし、形態に適切な変化を与える事によって、両群にとって有効な効果をもたらすことができる。