抄録
眼底検査におけるコンピュータ支援診断システムの開発において,血管領域の特定は重要な基礎技術の一つである.本報告では,Black-top-hat(BTH)変換に基づいた新しい眼底画像の血管抽出法を提案する.提案手法では,眼底画像に対して,大小異なる半径の構造要素を用いたBTH変換を施す.これらのBTH変換画像に対して2値化を行い,暫定的な血管領域を決定する.2つの相補的な血管領域画像を合成し,補正処理を行うことによって,血管領域を決定する.実際の眼底画像に対し提案手法を適用する実験を行い,検出率を用いて本手法の有効性を検証した.本手法は眼底画像からの血管抽出に有用であると考えられる.