抄録
下水道施設が供用開始後社会基盤の重要なシステムとしてその機能を適正に発揮するためには、改築修繕・維持管理するための手法が必要であり、近時社会基盤施設全般において維持・管理・再生技術の研究開発が求められている。しかし施設や設備に対する調査・点検箇所を合理的かつ効率的に検出する方法がなく、しかも社会基盤施設の老朽度や損傷度合を高精度でかつ客観的に判定できる手法もないのが現状である。そこで、本研究では社会基盤施設の重要な一つである下水道システムを適切かつ効率的に維持管理するために、データ包絡分析法(data envelopment analysis)を用いて下水道管渠施設の重要な点検要因の抽出とその利用による合理的・効率的な調査法について検討する。また、下水道管渠施設の定量的でかつ客観的な老朽度および損傷度合いの評価法を提案し、実際のデータを使用して本提案手法の有効性を検証する。