抄録
経済産業省の報告によると、組み込みシステム開発者の育成が産業界から期待されている。本研究は、高等専門学校(以下高専)における組み込みシステム開発者教育の有効な手法を提案、開発することを目的としている。そこで、組み込みシステムの一つであるロボットのうち、入出力装置と制御装置があらかじめ搭載され、高度な情報処理技術の実装が可能な歩行ロボットを利用した教育手法を提案する。平成24年度は高専高学年を対象とした演習を計画、実施した。これに引き続き、平成25年度は高専低学年を対象とし、組み込みシステムの実装に不可欠なプログラミングを、二足歩行ロボットの基本的な制御を通じて学ぶ演習を計画、実施した。演習後の学生のアンケート結果から、その有効性を確認するとともに、問題が発生した時の原因の切り分け手法を明確にすることが重要であることが分かった。また、高学年に対する演習は、内容をより体系化して実施した。本文では、実施した教育手法の詳細を示す。実施後に提出された課題に対する学生の解答や感想から本教育手法の効果を評価する。