抄録
Webに散在する情報はキーワードを入力することで,関連する情報を容易に入手可能となっている.これらの情報を提示されたユーザは,システムを用いても多量な情報を前に,斜め読みといった情報閲覧をすることも多い.同じトピックであっても,発信者が異なれば,その情報に対する視点は異なるが,ユーザは同一情報とみなしてしまい,情報を精査せずスキップしてしまうことも多い.読み飛ばした情報にこそ,有益な情報が含まれている可能性が高く,情報推薦システムの精度を上げることだけでは捉えることのできない情報が提供できると考えられる.また近年では,情報推薦システムの精度だけでなく,新規性や意外性等を指標とした推薦システムの評価,提案も行われている.この指標は,様々な研究者によって提案されているが,未だ画一的な指標が存在していない.本研究では,先行研究にて設計した情報推薦システムを用いてユーザにセレンディピティのある情報を推薦することができたかを判断するための指標について検討する.本研究では,2種類の指標を用いてセレンディピティのある情報を推薦できたかを判断する指標について検討した.Adamopoulosが用いている指標は0.1262と低い結果を示した.また,Yuanらが用いている指標は0.9055と高い値を示した.Yuanらが用いている指標では,コンテンツ同士の類似度に基づいて求められていることから,高い値を出力したと考えられる.また,Adamopoulosらが用いている指標は,推薦リスト全体に含まれている数を求めている.セレンディピティのある情報とは,頻繁に出現する情報ではないことから,この指標では必然的に小さい値になると考えられる.このことを受けて,セレンディピティの指標を設計する上では,あらかじめ頻繁に出現する情報ではないことを加味した指標を設計することが望ましいと考えられる.