抄録
雰囲気は環境から知覚される情報の総体であり,知覚される情報を定量的にコントロールすることは,任意の雰囲気を作り出すための一つの方法論である.私たちは,雰囲気を人工的にコントロールするために情報の頻度に注目し,いくつかの媒体を利用した知覚される情報の出力システムを開発してきた.これらのシステムは,知覚される情報の分布をガウス関数に従いコントロール可能であり,期待の実現および逸脱の操作を実現する.これは雰囲気の操作として捉えることができる.単独の正規分布に則った情報は,日常生活における情報に比べ単純である.そこで,私たちは実世界の情報に近づけるために,単独の正規分布だけでなく複数の正規分布を合成したり,正規分布以外の分布関数をコントロールしたりすることを可能にしたシステムに改良を行った.本発表では,このシステムの紹介とともに,それによって生成される雰囲気について考察を行う.