抄録
組織病理学の分野では,対象となる組織画像から様々な特徴量を抽出し,それらを用いて効率的で定量的な解析を行うといった研究が進められている.しかし,その際に用いられている特徴量の多くは乳癌,食道炎などを対象に検討されたものであり,その他の組織に対して有効であるとは限らない.本研究では,Glioma(神経膠腫)の組織病理画像における疾患進行度推定のための,各特徴量の識別性能について検討した.本稿では,Gliomaの組織病理画像に対して各特徴量を抽出し,それらの統計的な優位性を用いて有効な特徴量を決定した.これらの特徴量を用いることにより,99.7%の精度で進行度を推定することが可能となった.