岩鉱
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論説
北海道知床半島の縞状構造をもつ玄武岩質安山岩貫入岩体
後藤 芳彦
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1996 年 91 巻 12 号 p. 427-442

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抄録

北海道知床半島のオシンコシン貫入岩体は,長さ1,000 m,幅400 mのマッシュルーム形の玄武岩質安山岩貫入岩体である。この岩体は,同心円状の累帯構造をなし,内側から,塊状帯,亀甲状節理帯,および縞状構造帯からなる。塊状帯は貫入岩体中心部の大部分を占め,径100-250 cmの柱状節理で特徴づけられる。亀甲状節理帯は塊状帯を取り巻き,径70-150 cmの柱状節理とその表面に発達する径10-25 cmの亀甲状節理で特徴づけられる。縞状構造帯は亀甲状節理帯を取り巻き,径50-80 cmの柱状節理と,貫入岩体の外周に平行な縞状構造で特徴づけられる。縞状構造は風化侵食に強い凸部と弱い凹部(共に幅数cm)からなり,凸部の中軸には脈がみられる。この縞状構造は,マグマの貫入後,岩体の外周に平行な多数の冷却割れ目に結晶作用の残液が濃集して形成されたと考えられる。

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© 1996 日本鉱物科学会
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