岩鉱
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パキスタン北部,コヒスタン地域の2つの深成岩体中の斜長石双晶様式
高橋 裕平Tahseenullah Khan高橋 浩Allah Bakhsh Kausar久保 和也
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1996 年 91 巻 6 号 p. 242-249

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抄録
パキスタン北部,コヒスタン地域のチラス岩体とコヒスタンバソリス中の斜長石双晶様式を検討した。アルバイト及びペリクリン双晶以外の双晶で定義できるC双晶の頻度は,コヒスタンバソリスの非変形—弱変形のトーナル岩と花崗閃緑岩では,10-20%と貫入岩的性格を示す。チラス岩体ではC双晶の頻度が岩体の東部で小さく(0-5%)変成岩的性格を示すが,岩体の中央部では大きく(20-30%)貫入岩的性格を示す。これはチラス岩体がグラニュライト相の変成作用を受けたという解析と,角閃岩に貫入していて局所的な接触変成作用を及ぼしている場所もあるという岩石学的矛盾を,岩体の侵食レベルの違いで説明できることを示唆している。ペリクリン双晶の頻度は両岩体で大きな差はない。インドプレートがコヒスタン地塊に衝突した際の変形運動で両岩体にペリクリン双晶が同時に生じたものと解釈できる。
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© 1996 日本鉱物科学会
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