岩鉱
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論説
幌満かんらん岩体起源のコランダムを含むガブロの発見
森下 知晃小寺 忠広
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1998 年 93 巻 2 号 p. 52-63

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抄録

北海道様似郡様似町を流れるポンサヌーシベツ川よりコランダムの巨晶を含むガブロの転石を発見した。このガブロの供給源はガブロの鉱物組み合わせ,組織,化学組成の特徴から幌満かんらん岩体に産するGBIIガブロ(塩谷・新井田,1997)であると推定される。コランダムと他の鉱物との組織的な関係はコランダムがガブロ(=GBII)の最も新しい変成条件下では不安定であったことを示す。コランダムの分解反応はガブロ(=GBII)が温度上昇か圧力減少(もしくは両方)を受けたことを示唆する。コランダムの形成は分解反応の逆の条件(温度下降か圧力上昇)やざくろ石パイロキシナイトと共存するような比較的高圧条件が考えられる。後者の条件からはガブロ(=GBII)が高圧変成作用を受け,その後にマントルダイアピルの一部としてかんらん岩体とともに上昇してきた可能性が示唆される。

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© 1998 日本鉱物科学会
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