1998 年 93 巻 4 号 p. 103-128
インドネシア共和国,西ジャワ,バンドン盆地周辺には,K-Ar年代で鮮新世から後期更新世を示す火山岩類が分布する。これらの火山岩類の初生マグマ液相濃集元素組成を計算した。これをもとにモデル計算を用いて検討した結果,起源マントルの部分融解度はおよそ3.2-1.1 Ma,0.57-0.05 Maの少なくとも2回以上連続的に低下したと推定される。部分融解の再生は1.1から0.6 Maに起こった。この時期にはスンダ島弧中軸部の隆起運動が起こっている。この地殻変動はスンダ弧下に沈み込むインド—オーストラリアプレートの運動の変化によると考えられ,それがバンドン盆地地域の上部マントルの状態を変化させたものと考えられる。