岩鉱
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論説
西南日本,新生代アルカリ玄武岩中のかんらん石-スピネルペアの化学組成: 溶け残り岩の推定
宿野 浩司荒井 章司
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1999 年 94 巻 4 号 p. 120-140

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抄録

西南日本,中国地方には,新生代玄武岩類が多数存在しており,それらは火山群を形成している。これらの玄武岩中のかんらん石斑晶とそれらに包有されたクロムスピネルの化学組成から,マントルレスタイトを推定した。推定されたマントルレスタイトは,各々の玄武岩火山群において特徴的な性質を示すことがわかった。すなわち,津山,吉備,世羅ではレールゾライト; 黒岩高原,横田,比婆ではレールゾライトからハルツバーガイト; 松江ではレールゾライト(11 Ma)とハルツバーガイト(1 Ma),倉吉ではハルツバーガイト; 隠岐島後ではレールゾライトである。この結果は,従来の溶融実験から求められた融け残り岩と,ほぼ一致している。また,中国地方の玄武岩中のクロムスピネルの Cr# は,時間とともに高くなる傾向がある。これらは,西南日本において度重なる玄武岩活動によって,もたらされたものであると考えられる。

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© 1999 日本鉱物科学会
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