岩石鉱物鉱床学会誌
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平安南道永柔燐山燐灰石礦床調査概報 (II)
渡邊 萬次郎
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1943 年 30 巻 3 号 p. 131-142

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抄録

永柔燐礦床は花崗岩類によつて細かく貫入せられた雲母片岩及びそれに挾まる石灰岩中に發達する。
礦石は主として燐灰石で,これに多少の磁鐵礦,磁硫鐡礦,黄鐵礦,鐡雲母,緑泥石,方解石等の何れかを伴なひ,或はそれらの風化に基づく土状物を伴なひ,それらによつて白燐礦,鐵燐礦,生燐礦,土燐礦等の諸種に分れる。
礦床の一部は明瞭なる脈状を成して片麻岩を貫ぬき,一部は燐灰石鐵雲母質スカルンとして石灰岩を交代する。それらは共に燐灰石の巨品に富み,礦質極めて優良である。
礦床の一部は白燐礦,鐵燐礦,生燐礦の形に於て石灰岩の一部に分布し,これまた熱氣性乃至熱水性交代作用の産物と認められる。白燐礦と生燐礦は礦石として重要であるが鐵燐礦は貯藏せられ,交代作用の不充分なる部分は,含燐石灰岩として放置される。
礦床の一部は石灰質雲母片岩中を層状乃至網状に貫ぬく燐灰石の礦染帶から成り,その風化部は土燐礦として水洗淘汰の上利用される。

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