岩石鉱物鉱床学会誌
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東北地方油田第三系下部層の堆積學的考察(第2報)
下部層に於ける火成岩活動(新庄盆地東縁脊梁部の第三紀完晶質火成岩について)
加藤 磐雄
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1951 年 35 巻 4 号 p. 91-106

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抄録

以上について要約すれば
1) 山形県新庄盆地東縁脊梁部に於いて,この地域の新第三系最下位の及位層(Nozoki Formation;主として緑色石質凝灰角礫岩変朽安山岩等からなる火山碎屑岩相)及び一部花崗閃緑岩質基盤岩を貫く完晶質迸入岩の顯著な発達が認められた。
2) これらの岩石は一見閃緑岩状の外観を呈する稍々暗色の完晶質岩で,他の第三紀火山岩類及び基盤岩類とは明らかに区別される共通の特徴を示しているが,各岩体により比較的岩相差に富み多少とも半深成岩的傾向を有する一群の迸入岩である。
3) その鉱物組成からは斜長石(An40内外の中性長石),輝石,黒雲母若しくは角閃石の他た充間的石英及び正長石の稍々顯著な発達を示すものの他斜長石(An60内外の曹灰長石),輝石(2V=50°内外)を主成分鉱物とし極めて少量の充間的石英を含む黝黒質のものをも認め,その化学組成からも畧々石英閃緑岩乃至斑糲岩に相当するものと考えられる。
4) 新庄盆地周縁部には今後なおこの種の迸入岩の産出が期待されるが,その迸入時期の上限は未だ不明である。
5) 少くとも東北裏日本第三系最下位の変朽安山岩質火山碎屑岩累層の堆積に引続いて恐らくは中新期の海浸初期相の中に編入された火山岩活動と相前後して,造山運動と関聯した深成岩活動の一異相と考えられるであろう。何れにしても今後なお新第三系の堆積学的構造地質学的問題更にまた鉱床学的問題と関連して研究を進めたい。
本碗究た当つて石井清濤彦教授には岩石学的の御教示を賜つた。又化学分析に関しては北原順一,植田良夫,今野弘の各氏の御厚意を載いた。又野外資料に関しては本地域の一部を研究問題とした当時の学生諸氏,宮島建久,阿部正宏,大庭昇,金谷孝等の労によるところが尠くない。上記諸氏に衷心から謝意を表する。尚本研究には交部省科学研究費の一部を使用したことを明記し謝意を表する。本研究の端緒となつた石油開発促進審議会及び秋田県南資源開発期成同盟会に深謝する。

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