岩石鉱物鉱床学会誌
Online ISSN : 1883-0765
Print ISSN : 0021-4825
ISSN-L : 0021-4825
キースラガー鉱床に見られる緑泥石岩中の磁鉄鉱赤鉄鉱及びマグネシオフエライトについて
山岡 一雄
著者情報
ジャーナル フリー

1960 年 44 巻 3 号 p. 162-170

詳細
抄録

以上主なる点を要約すると次の如くなる。
1. 三波川・御荷鉾系変成岩中に胚胎するキースラガー鉱床においては,鉱体に接して極めて特異な化学成分・鉱物成分を有する緑泥石岩が存在することがある。
2. この緑泥石岩は酸化鉄鉱類のほかは殆んど緑泥石のみから成り,他の珪酸塩鉱物を含まない。その化学成分は三波川系に晃られる塩基性岩源のいわゆる緑泥片岩に比してSiO2, Al2O3, CaO, Na2Oに異常に乏しく,Fe2O3, FeOに著しく富んでいる。
3. 別子鉱山の緑泥石岩中には磁鉄鉱と共存するマグネシオフエライトが存在する。マグネシオフエライトは著しくSiO2に乏しく,MgOに富む岩石中に見出される可能性がある。また同緑泥石岩中には規則正しい結晶外形を示す仮像様鉱物が見出されるが,これはその外形・分解生成物から考えて,恐らくは変成鉱物として生成した〓石が更に2次的変質を受けたものと考えられる。
4. 大久喜鉱山の緑泥石岩も化学成分において別子鉱山のそれに酷似する。この緑泥石岩中には特殊の形態を示す赤鉄鉱・磁鉄鉱・同共生体が見出されるが,磁鉄鉱中には赤鉄鉱の還元生成物と考えられるものも存在する。

著者関連情報
© 日本鉱物科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top