岩石鉱物鉱床学会誌
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日本産ペスブ石
尾崎 正陽
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1971 年 66 巻 1 号 p. 22-34

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抄録

ベスブ石は,Barth (1963)も指摘しているように,理想式,化学組成と物理的諸性質の闘係などが明瞭でない珪酸塩鉱物の一つである。
今回,中部九州地域の接触変成帯に産する8例および秩父鉱山産のベスブ石について,化学組成, X線的性質および物理的性質の検討を行い,以下の結果を得た。(1)化学分析の結果は, Warren等(1931)の理想式よりもMachatschki (1932)あるいはBarth (1963)の理想式に近い。(2)産状の相異により僅かではあるが化学組成に差異がみとめられる。(3)屈折率は(TiO2+Fe2O3+FeO)の量の増加にほぼ比例して高くなる。(4)結晶粒の色は,主として(TiO2+Fe2O3+FeO+MnO)の量の増加とともに黄色→緑色→褐色の変化をしめす。(5)Lattice constantsは, a0=15.526→~15.611→, c0=11.765→~11.829→の数値を得たが,化学組成との関係は判然としない。

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