1972 年 67 巻 11 号 p. 370-385
大阪府南部に分布する和泉層群中から表題の2鉱物が発見きれた。これらは目本新産である。これらの産状,鉱物データを記載し,成因に言及した。産出地点は和泉層群基底近くの泥岩層中で,東西15Kmの間にわたる6地点である。細脈状に産出し,主な随伴鉱物はギプサイト,アロヘン,カルサイト等であり,しばしばより早期の石英一方解石脈を伴っている。この種の脈は沸石脈の形成とは関係がなく泥岩中に存在が予想される加水アルミノ珪酸塩がNaHCO3濃度の高い鉱泉(附近で発見されている)と反応して形成されたものとみなされる。上記のアルミノ珪酸塩としてはモンモリロナイトを規定した。これは,和泉層群の沸石相変質の比較的後期に,下部の砕屑岩中に石英一方解石一モンモリロナイト脈が形成きれたであろうと期待されるためである。