岩石鉱物鉱床学会誌
Online ISSN : 1883-0765
Print ISSN : 0021-4825
ISSN-L : 0021-4825
熊本県岳の湯地熱地帯産の束沸石
高島 勲前田 憲二郎
著者情報
ジャーナル フリー

1973 年 68 巻 1 号 p. 30-36

詳細
抄録

地熱地帯の白色粘土化した変質帯から,火山岩のガラスや斑晶を置きかえた束沸石が見つけられた。地熱地帯からの本鉱物の産出はめずらしい。この束沸石について,光学,X線,熱的,化学的な観察,実験を行なった。これらの結果を,今までに報告されている他の地域のものと比較し,次のような結論が得られた。(1)屈折率とSi含量との間には,〓erný (1965) によって示された相関関係がよく認められた。(2)DSCによる測定から, 142cal/g・H2O という脱水エネルギーが得られた。(3)化学成分は,高いSi含量で特徴づけられる。これは,反応に関与した熱水溶液の性質によるものであろう。(4) 鉱物中のイオン置換は,今まで報告されているものと異なり, CaAlAl↔SiSi, CaAl↔NaSi という置換を持っている。

著者関連情報
© 日本鉱物科学会
前の記事
feedback
Top