岩石鉱物鉱床学会誌
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岐阜県武儀・上麻生地域に発達する緑色岩類の古地磁気学的研究
服部 勇広岡 公夫
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1977 年 72 巻 9 号 p. 340-353

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抄録

岐阜県の武儀・上麻生地域に露出する二畳紀緑色岩類の岩石記載と古地磁気学的研究を行なった。この緑色岩類は弱くプロピライト化しているが,全体に新鮮で,古地磁気学的研究に適している。岩石磁化の安定性について検討したところ,磁化の大部分は,磁鉄鉱が担っており,二次的不安定成分を交流消磁により除去すれば,十分信頼しうる安定磁化が得られることがわかった。この安定な磁化は,緑色岩噴出時に獲得きれた熱残留磁化と思われる。こうして得られた磁化方位を,武儀・上麻生地域の構造運動以前の状態に復原したところ,次のような事柄を知り得た。1)この緑色岩類は噴出後現在に至るまで,その一体性を保ち続けている。2)緑色岩類の噴出は地磁気学的低緯度の地域で起った。3)この緑色岩類は中生代のある時期に移動岩体として,武儀・上麻生地域に付加された。

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