岩石鉱物鉱床学会誌
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紀伊半島 大峯酸性岩
その地質と化学組成
川崎 正士
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1980 年 75 巻 3 号 p. 86-101

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抄録

大峯酸性岩は,紀伊半島中央部の山脈添い,南北40kmにわたって点在している。
この酸性岩体は,優白色斑状花崗岩を主とする半深成岩体であり,現在は,その天井部が露出しているにすぎない。岩質の変化は,北部ほど有色鉱物に富み深成岩相を呈する傾向がある。
貫入年代は第三紀中新世で,基盤の古生層,中世層を貫ぬいており,その貫入時に,基盤に対し熱的機械的影響を与えている。
大峯酸性岩は,小規模岩体が断続的に貫入して,一つ一つの岩体を形成したものと考えられ,従来予想された一つの大きなパソリスの存在は考えづらい。大峯酸性岩について,新らたに29個の化学分析を行なった。この結果,化学組成は,他の外帯の花崗岩に比べて, K2Oに富み,SiO2に不足するという特徴を持っている。

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