岩石鉱物鉱床学会誌
Online ISSN : 1883-0765
Print ISSN : 0021-4825
ISSN-L : 0021-4825
飛騨変成帯漆山地域に分布する片麻岩と変貫入岩類のRb-Sr年代
荒川 洋二
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 79 巻 11 号 p. 431-442

詳細
抄録

飛騨変成帯主要部である高原川流域の漆山地域では,変ハンレイ岩,変トナル岩が母岩の粗粒黒雲母角閃石片麻岩中に貫入している。さらにアプライト岩脈が上記三者を切って貫入している。粗粒黒雲母角閃石片麻岩と変ハンレイ岩のRb-Sr鉱物アイソクロン年代は,それぞれ, 216±10Ma, 222±2Ma である。一方変ハンレイ岩,変トナル岩の全岩アイソクロン年代は,それぞれ 415±144Ma, 332±74Ma であり,鉱物年代より明らかに古い。これらの全岩年代は,ハンレイ岩とトナル岩の貫入の時期に相当し,これらは後に鉱物年代で示される 220Ma の時期の広域変成作用を受けたと考えられる。アプライト岩脈の全岩アイソクロン年代は, 172±7Ma を示す。少なくともこの地域に分布する飛騨片麻岩類は,ハンレイ岩の貫入以前の主要な変成作用,変形作用によってすでに形成されていたと考えられる。

著者関連情報
© 日本鉱物科学会
次の記事
feedback
Top