岩石鉱物鉱床学会誌
Online ISSN : 1883-0765
Print ISSN : 0021-4825
ISSN-L : 0021-4825
武尊火山におけるソレアイト質マグマの結晶分化
山口 尚志
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 79 巻 5 号 p. 214-232

詳細
抄録

武尊火山において,マグマ溜りにおける結晶の晶出順は次のようである。液のシリカ量が 53.5 から 57%の間では,かんらん石,シソ輝石,普通輝石,斜長石,磁鉄鉱が共存する。シリカ量が 57% を越すとかんらん石は液と反応して消え,少なくともシリカ量 70% まで他の 4 種の鉱物が連続的に晶出する。
計算による斜長石の晶出量にしめる割合と,斑晶モードにおける斜長石の割合の比較によって,多くの岩石において斜長石の濃縮が推定される。
石基のシリカ量増加に伴ない,石基輝石は,普通輝石+ピジョン輝石→ピジョン輝石→ピジョン輝石+シソ輝石→シソ輝石と変化する。
武尊火山マグマの分化経路は,日本の他のソレアイト質マグマのそれと比較して,ノルムディオプサイド量がやや少なく,石基シリカ量 65%以上で石基シソ輝石が出現する点が異なる。

著者関連情報
© 日本鉱物科学会
前の記事
feedback
Top