抄録
日高変成帯南部のニオベツ川上流で標題の岩石が発見された。日高変成帯主帯では,これまで,ミグマタイト類以外にはパーアルミナスな岩石は見つかっていない。このノーライト中のザクロ石はデイサイトや流紋岩中のものと組成が類似している。斜方輝石のAl2O3,CaO量は各々,1.0-2.3%, 0.2-0.5%であり,パーアルミナスな火成岩中のものに類似している。岩石組織や鉱物の組成などの根拠から,このノーライトはパーアルミナスなマグマから940-1070°C, 4-5kbarの条件下で晶出したと考えられる。