東北日本弧の鮮新世火山岩の主要元素と微量元素の水平変化

抄録

東北日本弧の太平洋側から脊梁帯にかけての広い地域に南北に配列する鮮新世 (4～2 Ma) 火山岩111試料について,主要元素と微量元素 (Rb, Sr, Nb, Y, Zr, Ni, Cr) の分析を螢光x線法で行った。本研究結果と既発表の他の鮮新世火山岩のデータは,太平洋側から日本海側に分布する火出岩(玄武岩～デイサイト)にむかって, K₂O, Rb, Srが漸次増加することを示す。これらの火山岩は,苦鉄質斑晶鉱物組合せや岩石系列の点においても,東北日本弧の第四紀火山岩の場合とほぼ同様な水平変化を示す。このような化学組成と岩石学的性質の水平変化は, 8～6 Maの火山岩にも認められているので,東北日本弧においては,太平洋プレートの沈み込みに関連した火山活動が少なくても8 Ma前から現在まで継続して起っているものとみられる。