1992 年 87 巻 11 号 p. 460-466
標記地域の札幌岳および朝里岳より低カリウム系列のソレアイト質玄武岩を見いだした。K-Ar年代は,それぞれ1.6±0.6 Ma (札幌岳)および2.6±1.0 Ma (朝里岳)であり,標記地域に広く分布する“1平坦面溶岩”と呼ぱれている安山岩-デイサイト質溶岩の活動年代とほぽ同じである。これらの玄武岩の主・微量成分化学組成は,東北本州弧の海溝側の玄武岩組成と類似している。玄武岩の化学組成から東北日本弧の火山を海溝側と背弧側に2分すると,鮮新世から第四紀にかけての火山の帯状配列は東北本州から西南北海道までN-S方向である。この帯状配列は, N-S方向(日本海溝)からNE-SW方向(千島海溝)へと変化する現在の島弧-海溝系では説明できない。