GASTROENTEROLOGICAL ENDOSCOPY
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ERGONOMIC ENDOSCOPY ―THE CURRENT STATUS AND INTERVENTIONS FOR THE PREVENTION OF ENDOSCOPY-RELATED MUSCULOSKELETAL DISORDERS
Ippei MATSUZAKI Takeshi EBARAMitsuhiro FUJISHIRO
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2024 Volume 66 Issue 2 Pages 119-128

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要旨

近年,不自然な同一拘束姿勢や頻回な手首のひねり動作を余儀なくされる内視鏡医の筋骨格系障害(musculoskeletal disorders;MSDs)が注目されている.MSDs有病率と罹患部位の特徴や従事時間,内視鏡環境,内視鏡医の背景要因など多岐にわたるリスク因子の報告を紹介する.また,リスク軽減戦略として知られているHierarchy of Controlsの考え方,人間工学的対策を解説し,多様なステークホルダとの連携による包括的アプローチにて内視鏡現場を改善させるため内視鏡と人間工学分野の動向を読者と共有する.本総説を多くの消化器内科医が長く安全に内視鏡診療に従事するための手引きとして頂きたい.

Abstract

Musculoskeletal disorders (MSDs) among endoscopists, which are caused by awkward body postures and repetitive twisting maneuvers of the wrists, have gained attention in the recent years. This review explains the interpretation of the prevalence and characteristics of MSDs and local body sites, risk factors, including the engagement time and endoscopy environment, and background factors of endoscopists. It also discusses the risk reduction strategy known as the Hierarchy of Controls and ergonomic interventions for endoscopists. Furthermore, the global trends in endoscopy and ergonomics are shared in this review, advocating for a systems approach through collaborations with various stakeholders to improve the field of endoscopy. Thus, it could serve as a guide for numerous gastroenterologists engaged in endoscopic procedures for long durations of time.

Ⅰ はじめに

筋骨格系障害(musculoskeletal disorders;MSDs)は様々な労働者において認められ,筋肉,腱,神経などの痛みを伴う障害の総称であり,腰痛,頸肩腕障害,手根管症候群など,多様な症状や症候群が含まれる職業性疾患である 1),2

近年,循環器内科医,外科医など様々な医療従事者のMSDsが報告されており,国内では介護労働者の腰痛が社会問題となっている 3)~5.消化器内科医の労働時間のうち内視鏡業務は4割を超えているとされ,上肢保持や立位姿勢などの同一拘束姿勢,頻回な手首のひねり動作を余儀なくされる内視鏡医のMSDsが注目されている 1),6),7.MSDsを原因とする休職や離職は慢性的な消化器内科医不足,内視鏡検査・治療件数の減少に繋がる.

人間工学(Human Factors and Ergonomics;HFE)は,人間の特性に合わせて仕事,機械,環境を適正化するための実践科学であり,MSDsの予防を含む人間の健康やシステム全体のパフォーマンスを最適化するために役立つ学問である.内視鏡業務においては医師を含む内視鏡従事者を対象とし,内視鏡,モニター,ベッド,各種デバイス,ハードウェアなどのシステム要素に加えて,作業時間や組織文化などのマネジメント要素も含めて活用する必要がある 2

本稿では内視鏡とHFE分野の動向を読者と共有し,消化器内科医だけでなく様々な内視鏡従事者,HFE専門家,産業界,行政と連携し,医療現場を改善するための手引きとして頂きたい.

Ⅱ 内視鏡医の筋骨格系障害

Ⅱ-1.有病率と罹患部位

内視鏡関連MSDs有病率の報告は2019年以降に増加しており,20~95%と幅が広いがその多くは50%を超えている 6)~25.罹患部位は主に首,腰,手などが上位を占め,エキスパートは手首や手,男性は腰部や肘,女性は母指や上肢に多いという特徴が報告されている 16),21),25

2011年の国内調査において,内視鏡医MSDs有病率は42.6%(81/190名)で,手,手首,左母指に多いと報告されている 13.また,2021年の国内調査では,79.1%(87/110名)の内視鏡医が1年以内にMSDsを経験し,1週間以内の有病率は44.5%(49/110名)と半数近くに及び,部位としては首,腰,右肩の順に多く認めている 7.同報告では,休職を要するほどの重度MSDsが17.3%(19/110名)に及び,手や手首の障害が原因の多くを占めている 7.海外からも重度MSDsは2~21.0%と報告されており本邦でも全国規模の調査が必要である 6),14)~17),19),21)~25

内視鏡関連MSDsに関する報告では,“musculoskeletal injuries”や“endoscopy-related injuries”,“musculoskeletal pain”などの用語も使用されている 6)~25.罹病期間や痛みの程度に関する評価も統一されておらず,標準化された罹患部位アンケートも広くは活用されていない 7),26.アンケート回収率は,母集団に対する信頼性を考慮する上で重要であるが,6~75%と差が大きく記載のない文献も多く認めている 6)~25

Ⅱ-2.リスク因子

HFEの知見からは,同一拘束姿勢,繰り返される運動,強い力による労作,休憩をはさまない長時間労働などがMSDsの原因として挙げられている 1),2.また,中立姿勢から偏移した同一拘束姿勢は,内視鏡モニターやベッド,内視鏡操作部,患者との物理的距離といった作業環境因子も影響する.

内視鏡医の性別や年齢,小休憩,HFE教育の有無などもMSDsリスクに関わる因子として報告されている 13)~15),19),21),22),24.さらに,内視鏡件数や従事時間,従事年数などとの関連も多く報告されている 6),8),10),13),19),21),22),24.上部消化管内視鏡検査などの比較的短時間で終わる手技と比べて,長時間に及ぶ内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)は肩や腰のMSDsリスク因子として挙げられている 7.鉛エプロンを装着する透視室での長時間手技は他の処置に比べてリスクが高いと推察されているが,リスク因子としては明らかではない 1),9),13),18

Ⅱ-3.人間工学的評価手法

評価方法として,rapid entire body assessment(REBA)やrapid upper limb assessment(RULA)などのツールが活用されている 27.また,眼球運動や頭部角度などが計測可能な眼鏡型計測装置や,モーショントラッキングシステムの精度検証が報告されている 28),29.右手首のひねり動作を必要とする大腸内視鏡検査はMSDsリスクとして注目されており筋電図評価がトレーニングなどに活用できる可能性が示唆されている 10),13),16),19),27),30)~34

MSDsリスク因子を評価し解明する試みは重要であるが,研究デザインの多様性,内視鏡医と検査の背景要因,作業姿勢や内視鏡室環境など多岐にわたる交絡因子を考慮する必要がある.過去の他分野の経験則から合理的と考えられるHFE知識を包括的視点で広く活用することが求められる.

Ⅲ Hierarchy of Controlsに基づいた人間工学的対策

Ⅲ-1.Hierarchy of Controls

歴史的には1950年,米国国立安全評議会(National Safety Council)がヒューマンエラーの安全管理システムとして産業界で知られていたHierarchy of Controlsを採用した.それを米国国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health;NIOSH)が産業保健分野に応用し,ハザード(危険源)の作業管理の標準として広く使われるようになったリスク軽減戦略のモデルである.リスク軽減のためのヒエラルキー(階層)は,機器開発と教育などを含めた内視鏡関連MSDsにおける多面的かつ多層的な対策を理解する上で重要である(Figure 1 35)~38

Figure 1 

内視鏡医の筋骨格系障害リスク軽減のためのHierarchy of Controls.

[The National Institute for Occupational Safety and Injury(NIOSH). Hierarchy of controls. 2015. Available at: https://www.cdc.gov/niosh/topics/hierarchy/default.html. 37より筆者作成].

Ⅲ-2.個人防護具

個人防護具(Personal Protective Equipment;PPE)は,セパレートタイプの鉛エプロンの使用などが挙げられる 9),18),23.Shergillらは,内視鏡・デバイスの操作技術や小休止,ストレッチなど「個人でできる対策」もPPEに含めて解説している 31),36)~38.インソールや弾性ストッキングも推奨されているがエビデンスは乏しくさらなる検証が必要である 31),36),37),39

Ⅲ-3.Administrative Controls

人の働き方を訓練する対策には,HFE教育やトレーニング,スケジュール調整,後述するエルゴノミックタイムアウトなどが含まれる 36),40.64~90%の内視鏡医がHFE教育やトレーニングを必要と考えており,標準的なカリキュラムの構築が求められる 9),14),15),18),22),24),25

Ⅲ-4.Engineering Controls

人を危険物から遠ざける工学的対策としては,モニターやベッドなどの環境整備や,内視鏡操作部のダイアルアダプター,左上肢や肩の疲労を軽減するためのサポートスタンドなどが挙げられる 32),41),42.フロアマットのエビデンスは不足しているが,後述する内視鏡スツールの配置は重要なHFE対策の1つである 43

Ⅲ-5.Substitution

危険性のあるものをないものに置換する対策はErgoGripなどの内視鏡操作部の改良が含まれ,外科分野でも同様の課題が挙げられている 44),45.米国では41.0%(93/227名)の内視鏡医が,操作部が手のサイズと比較して大きいと感じており,国内からも同様の要望が挙げられている 13),46.手首のひねり動作軽減に寄与するスパイラル内視鏡やInvendoscopeなど人の運動特性を考慮した機器開発が求められる 47)~49

Ⅲ-6.Elimination

危険そのものを物理的に除去することは最も効果が見込まれる対策である.カプセル内視鏡検査,大腸CT検査は,内視鏡に関わる業務から消化器内科医を開放することができる.

Ⅳ 筋骨格系障害を予防する人間工学的対策

Ⅳ-1.国内外の人間工学的対策

1994年に“Mechanical Injury”という表現を用いて内視鏡従事者の健康被害について記載がされている 50.2009年にShergillらがHFE専門家とともに“Ergonomics and GI endoscopy”を報告し,翌年には米国消化器内視鏡学会からMSDs軽減のためのHFE対策が提言されている 1),51.近年,欧米を中心に内視鏡医向けのHFE教育が注目され,2023年には米国からガイドラインが報告されている 27),36),40),52)~58

一方,2012年,本邦においても日本超音波医学会から「超音波検査者が安全・快適で健康的に働くための提言」が刊行されている 59.また,2022年には,「筋骨格系障害予防のための人間工学的対策(Ergonomic Endoscopy 7 Tips)」が提言され本誌にも報告されている 38),60

Ⅳ-2.内視鏡従事者のための7つの人間工学的対策(Ergonomic Endoscopy 7 Tips)

Ⅳ-2-1.Ergonomic Endoscopy 7 Tipsの概要

ディスプレイやキーボードにより構成された情報機器作業と,内視鏡画面を見ながら両手で内視鏡や処置デバイス,フットペダルを操作し高周波発生装置を扱う内視鏡業務には共通点がある.欧米で提唱されている医療分野における対策,国際労働機関・国際人間工学連合(International Labor Organization;ILO/International Ergonomics Association;IEA)の提唱するErgonomic Checkpoints,情報機器作業で扱われているHFE対策などを元にHFE専門家と共同してまとめられた,本邦初の内視鏡従事者のための提言である 36)~38),52)~56),59)~61

Ⅳ-2-2.Tip 1 内視鏡従事者,内視鏡操作部,モニターは一直線に配置しましょう(Figure 2-a).

Figure 2 

内視鏡従事者のための7つの人間工学的対策(Ergonomic Endoscopy 7 Tips).

a:Tip 1 内視鏡従事者,内視鏡操作部,モニターは一直線に配置しましょう.

b:Tip 2 モニターの中心が目線から15~25°下方となるよう高さを調整しましょう.

c:Tip 3 作業面の高さは,肘の高さから少し下に調節し,肘が身体から離れる作業姿勢を減らしましょう.

d:Tip 4 長時間の内視鏡業務に従事する時は,座った姿勢と立った姿勢を交互にとりましょう.

e:Tip 5 ワークレストスケジュールを調整し,内視鏡業務の偏りを減らしましょう.

   f   :Tip 6 内視鏡モニターを見る場合は「20-20-20ルール」を実践しましょう.

g:Tip 7 内視鏡検査・治療の前後,休息時にストレッチを行いましょう.

長時間にわたり体幹や首にひねりが生じるとMSDsの原因となることが外科領域でも検証されている 4),62),63.水平断における脊椎の軸回旋を避けるために,適切なモニターの位置調整だけでなく,操作部に影響を与えるベッド上の患者配置にも注意が必要である.現行の内視鏡トロリーに付属したメインモニターを使用すると一直線の配置は困難であり,サブモニターの利用が推奨されている 1),2),27),31),36),37),40),42),53),54

Ⅳ-2-3.Tip 2 モニターの中心が目線から15~25°下方となるよう高さを調整しましょう(Figure 2-b).

矢状断面において,過度な首の前屈や後屈はMSDsの原因となる.内視鏡領域においてモニターの適切な位置に関する検証報告は存在しないが,他の分野では十分に検証されている 4),64)~68.国際標準化機構(International Organization for Standardization;ISO)9241-5では,座位と立位で推奨される視線角は異なるが,自律管理を行うためにモニターの上縁を目線の高さに調整することを推奨している.欧米の内視鏡に関わるHFE対策では,モニター中心の高さ,術者との距離に関する具体的な記載があるが,欧米人の人体寸法データベースや,ブラウン管モニターを用いた研究を元にしていることに注意が必要である 69.モニターのサイズや解像度,作業環境などを考慮し,内視鏡医の頸部が前屈や後屈することなく,明瞭に見える距離にモニターを配置することが望まれる.

Ⅳ-2-4.Tip 3 作業面の高さは,肘の高さから少し下に調節し,肘が身体から離れる作業姿勢を減らしましょう(Figure 2-c).

欧米のHFE対策では,ベッドの高さは肘の高さから10cm以内とするよう提言されている 1),2),27),31),36),37),40),42),51)~54.肘が身体から離れる状態での作業も,肩,上腕,背中などのMSDsの原因となるため,患者の位置を術者から離れすぎないよう調整し,脇を開けずに作業を行うことが推奨される.

Ⅳ-2-5.Tip 4 長時間の内視鏡業務に従事する時は,座った姿勢と立った姿勢を交互にとりましょう(Figure 2-d).

多くの内視鏡医が常時立位で内視鏡検査・治療を行っている 7),10),11),19.長時間の立位作業は腰や下肢におけるMSDsの原因となる.米国周術期看護協会では,連続して2時間以上または労働時間の30%以上を同じ場所で立つ医療従事者は,sit-standスツールを使用することが提唱されている 70.一方,長時間の座位姿勢もMSDsの原因となり,心血管疾患,癌,2型糖尿病の発症や死亡リスク上昇に関連する 71.オフィスワークや工場のHFE対策として姿勢変換を促すsit-stand workstationが注目され,MSDs軽減だけでなく集中力維持にも効果があるとされている 72)~75

高周波発生装置のフットペダルなどを操作するESDではsit-stand workstation利用による下肢の疲労軽減効果が報告されている 76.内視鏡現場においては治療中にモニターやベッドの高さ調整を必要としない,座高の高いスツールなどの配置が推奨される 77),78

Ⅳ-2-6.Tip 5 ワークレストスケジュールを調整し,内視鏡業務の偏りを減らしましょう(Figure 2-e).

適切な内視鏡室の環境調整をしても,休憩をはさまない長時間労働はMSDsを引き起こす原因となる.休憩は,筋肉や腱,靭帯にかかる負担から回復する機会を与えるために不可欠であり,スタッフ間の意思疎通にも有効とされている 7),36),51),79.内視鏡医の1割しか定期的な休憩をとっていない実態が報告されており,定期的な小休止の導入(ワークレストスケジュール)が推奨されている 6),13),28),31),36),37),40),54.情報機器作業分野では15分毎の休憩,内視鏡業務では20~60分毎の1~3分の休憩が推奨されているが十分な検証はされていない 28),53),80.内視鏡スケジュール調整(業務割り当て)に関しては,外来,病棟業務も含めさらに検証する必要がある 31),36),70.また,同一日に長時間治療を重複させないなどの内視鏡業務の均等化(業務ローテーション)も推奨されている 36),37),81

Ⅳ-2-7.Tip 6 内視鏡モニターを見る場合は「20-20-20ルール」を実践しましょう(Figure 2-f).

長時間画面を見続けることは,眼精疲労や姿勢拘束を引き起こす原因となる.情報機器作業においては,20分毎に休憩をとり,20フィート(約6m)以上先にある対象物を20秒間見ることが推奨されている 82),83.同時に姿勢変換やストレッチを行うことはMSDs軽減にも寄与する.近年増加しているオンライン会議や,電子カルテ操作などの作業においても実践すべき対策である.

Ⅳ-2-8.Tip 7 内視鏡検査・治療の前後,休息時にストレッチを行いましょう(Figure 2-g).

内視鏡業務には下肢だけでなく,肩関節の拘束姿勢や前腕の中空保持姿勢を余儀なくされる特徴がある.休憩だけでなくストレッチを行うことで肩の痛みを軽減する効果があることなどが報告されている 84),85.近年,内視鏡分野においても動的姿勢が注目され教育に取り入れられつつある 54.適度なストレッチは疲労の蓄積やMSDs予防に寄与することが期待されており,内視鏡医をアスリートとして捉える考え方も紹介されている 42),53),84),86.欧米からは効果検証はされていないが具体的なストレッチ方法が紹介されており,国内からは小休憩時に鉛エプロンを肩から持ち上げると頸肩部のMSDs症状を抑制することが報告されている 28),53),54

Ⅳ-2-9.その他の対策

内視鏡モニターと透視画面の適切な配置はMSDs軽減や手技時間の短縮にも有用である 9),87

患者移送,体位交換時における医療従事者の姿勢や,治療の介助を行うスタッフや内視鏡洗浄者の拘束姿勢の問題などにも取り組む必要がある 38),56

Ⅴ 内視鏡現場,学会などにおける啓発

Ⅴ-1.エルゴノミックタイムアウト

タイムアウトと呼ばれる手術直前にスタッフが一斉に手を止めて,患者や手術方法・手術部位の最終確認を行う医療安全のルールが,内視鏡現場にも普及しつつある 88.さらに欧米では,内視鏡手技の前にモニター配置などを確認する「エルゴノミックタイムアウト」の導入が加速している 15),28),31),36),37),40),41),56),86.本邦においても,適切な小休止の導入なども含めて検討する必要がある 6),7

Ⅴ-2.人間工学教育ツール・機会の提供

内視鏡室環境や内視鏡医の姿勢に対してHFE専門家から直接指導を受けることが推奨されており,理学療法士による介入の効果も検証されている 53),54),86.欧米からの提言,Ergonomic Endoscopy 7 Tipsなどを参考にして,研究会などを通じてHFE対策の啓発を行っていく必要がある 38),57)~61

Ⅴ-3.システムズ・アプローチ

医師以外のMSDs調査や対策に関する報告は少ないが,看護師や技師,洗浄員,事務などすべての内視鏡従事者の健康を考える必要がある 7),19),23),24),53),78),89.近年は女性医師の働き方に関する検証も国内外で注目されておりタスクシフトや労働時間以外のHFE視点も取り入れなければならない 21),90),91.労働者(内視鏡従事者)の健康,安全,働きがいといったウェルビーイングと,使用者(病院・経営者)の求める生産性向上・エラー率低減といったパフォーマンスの適正化を図るためには,物理環境(内視鏡室環境),組織環境(内視鏡チーム・管理組織),社会環境(学会・医局・労働法)におけるステークホルダとの連携を意識したシステムズ・アプローチ(包括的対策)が重要となる 92

Ⅵ まとめ

内視鏡医のMSDs有病率やリスク因子,MSDsを軽減するためのHFE対策や包括的な取り組みの必要性を紹介した.Hierarchy of Controls,Ergonomic Endoscopy 7 Tipsなどの多面的・多層的対策を意識し,様々なステークホルダが連携して内視鏡現場を改善していかなければならない.

 

本論文内容に関連する著者の利益相反:なし

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