抄録
水仙の triploid (3x=21, 30) 及び hypertriploid (2n=31) の品種に就きて花粉粒の有する染色體數を統計的に調査し, その結果より花粉母細胞の減數分裂時に於ける一價(又は格外)染色體の分布に就きて考察せり。若し一價染色體が全く機會的分布をなすものとせば, 花粉粒に於ける染色體數の頻度は(0.5+0.5) n-n は一價染色體數-の分布と一致すべし。然れ共上記諸觀察例に於ては, 何れも染色體數の少なき側に於てその頻度高きを認めたり。蓋しその原因は一價染色體の核外消失に歸因するものと認むべく, 若し triploid 口紅水仙(3x=21)に於ける結果を(0.6+0.4)7の分布と比較する時は觀察數と理論數との極めて近似せるを見出し得べし(第5表)。尚本品種に於ける一價染色體の核外消失率は觀察結果より計算して11.5%なる値を得たり。