遺伝学雑誌
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THE BEHAVIOUR OF PLAXATE, A MUTANT GENE OF DROSOPHILA ANANASSAE
Daigoro MORIWAKI
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1936 年 12 巻 4 号 p. 183-188

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抄録

アナナス猩々蠅 (Drosophila ananassae) の一優性遺傳子 Plexate に關連した二つの事實に就て叙述した。
一つはこの Plexate に伴つて balloon の樣な形質が表現されることのある事實で, この傾向が遺傳的であることを知つた。その形質を現はす factor がどんな形式のものかは未だ決定されないが, 或る程度の淘汰は可能らしい。Plexate は第二染色體に屬すると考へられるが, 第三染色體にある balloon 遺傳子がヘテロの状態で同じくヘテロの Plexate (ホモは致死である) に伴ふ時に上述の傾向が更に強められる。次に, この factor の表現は區々であつて, この形質を伴ふもの同志を交配しても全く之を現はさないものが相當數生ずる状態だが, その原因の一部は蠅の羽化する時期にあるらしい, 即ち同一飼育罎中では初期に羽化したもの程多くこの形質を表現すると考へられる。更に知られた事はこの表現率が雌雄で異る點で, 一般に雌に於ける方が率が高く雄の約2倍に達するのである。
Plexate に關する今一つの事實といふのは, Plexate が normal gene に逆戻り (reverse) したといふ現象である。それが單なる reversion にしては少し數が多過ぎる樣に思つたので, 或はmutable な傾向でも存在するのではないかとの豫想をいだいて實驗を繰返して見た。その結果は豫期に反して全く reversion を伴はなかつた。

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© The Genetics Society of Japan
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