遺伝学雑誌
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アナナス猩々蠅の突然變異形質に關する遺傳
森脇 大五郎
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1938 年 14 巻 1-2 号 p. 1-23

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抄録

先に發表したアナナス猩々蠅の11の突然變異形質に續いて發見された42の突然變異に就て, 起原•特質•遺傳性状等を記述した。その中伴性遺傳のものが13, 第2染色體に屬するもの15, 第3染色體が9, 第4染色體に屬すると思はれるものが4, その他に所屬不明のもの1があつた。
以上の中で優性に遺傳するものは11あるが, Golf と Off とは明らかにホモが生存することが知られた。
遺傳子間の相互關係で特に著しかつたのは rough と Plexate との關係で, rough 遺傳子はホモの状態にあつても Plexate が加はらねば形質を表現しない。
Minute-IIb, Minute-IIIc, Minute-IVa の夫々には, その屬する染色體に於ける交叉を高めると思はれる何等かの力が伴ふらしい。即ち之等の Minute のどれかが關係すると雄に於ても若干の交叉が見られ, 雌に於ては交叉が高められる結果となる樣である。
本種に於ては各種の逆位が屡ゝ現はれる。Puffed には CIIL (第2染色體の左腕に於ける交叉を抑制すると思はれる一逆位) が伴つて居るし, Dichaete にも Beaded にも同じく CIIL が伴ふらしい。この他に lethal-4 又は w f2 に伴つて小さな逆位がX染色體にあると考へられる。即ちこの系統では w f2 の近くの交叉が幾分抑制される傾向がある。併しこれは唾腺染色體の方からは未だ證明されて居ない。

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