遺伝学雑誌
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コジマエンレイサウに於る花瓣の雄蕋化
芳賀 〓
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1939 年 15 巻 4 号 p. 235-240

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抄録

コジマエンレイサウの花瓣はしばしば雄蕋へ變化します。變化の程度は種々で, 最も著しいものは雄蕋と同じ形をとります。變化した花瓣の大部分は, その葯に相當する部分に正常な花粉を作ります。總計136個の花の内の55 (40.4%) はこの變化を示しました。双生花莖に着く花(56.0%) は, 單生花莖に着く花 (31.4%) に較て約2倍の異常花を示します。花瓣の變化は花の大さに無關係に起り, また同一個體でも年により違つた花を開きます。即ち變化の形や程度は遺傳的形質と認められませんが, 變化に對する内的性質はこの植物の遺傳子型に屬するものと考へられます。この植物 (n=15) の染色體組は, 花瓣の無いエンレイサウ (n=10) と花瓣を具へてゐるオホバナノエンレイサウ (n=5) との間の六倍雜種であることを暗示して居ます(未發表)。このことば花瓣の變化と關聯して甚だ興味深い事柄と考へられます。

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