テントウムシ Harmonia axyridis PALLAS の遺傳學的研究 第VI報

抄録

既報第I-V並びに上述の實驗結果により, 次の事が云へる。
1. conspicua, gutta, distincta, transversifascia, spectabilis, rostrata, axyridis, forficula,aulica, succinea-1, succinea-2, succinea-3, succinea-4, succinea-5 及び succinea-6は互ひに單性雜種をなす。
2. succinea-1, succinea-2, succinea-3, succinea-4, succinea-5 及び succinea-6 に對して, 夫々 p¹, p², p³, p⁴, p⁵ 及び p⁶ なる因子符號を與へるとすれば, 次の15因子は複對因子系を構成し, 常染色體色上に存在する。
P^C (conspicua 因子), P^G (gutta 因子), P^D (distincta 因子), P^T (transversifascia 因子), P^S (spectabilis 因子), P^R (rostrata 因子), P^A (axyridis 因子), P^F (forficula 因子), P^Au (aulica 因子), p¹ (succinea-1 因子), p² (succinea-2 因子), p³ (succinea-3因子), p⁴ (succinea-4 因子), p⁵ (succinea-5 因子) 及び p⁶ (succinea-6 因子)。
3. 各型ともホモ接合體が存在する。
4. succinea の各因子型に對して, 夫々固有の表現型の變異状態が見られる。
5. 因子型を異にする succinea は同一環境下の飼育に於ても, 其表現に互ひに著しい差異を見る場合がある。
6. 翅鞘斑紋を生ずる色素は黒色と紅色とあり, 一般的に前者の存在は後者の存在に對して單優性を示す。