遺伝学雑誌
Online ISSN : 1880-5787
Print ISSN : 0021-504X
ISSN-L : 0021-504X
短節蠶の遺傳
淺野 清志
著者情報
ジャーナル フリー

1947 年 22 巻 5-6 号 p. 88-92

詳細
抄録
1. 此異常短節蠶は昭和7年春期に支支一二化交雜種のF10の5齡期に於て發見された。
2. 此異常蠶は各體節短縮し節高となつて4齡期より特徴を表わすが, 5齡期に於て一層明かとなり一種の膿蠶の如くなりて正常蠶と容易に區別される。
3. 此異常蠶は體節のみ短縮を起し其他の外部器管に異状を認めないが, 内部の直線状の消食管は體節短縮するため脊椎動物の腸管のように彎曲し, 爲めに其機能に於て圓滑を缺くようになる。
4. 此短節蠶は蛹や蛾に於て區別し難いほど大差がなく, 僅かに體長體幅に少々異状ある程度に過ぎない。
5. 一般に短節蠶は行動不活溌で食慾も乏しく發育遲れ特に結繭中の斃死多く繭層も薄く生産卵數も少く何れの點に於ても不良形質蠶として學術的には兎も角も實用形質として全く價値ないものである。
6. 短節蠶は劣性として遺傳する。昭和5年春期に突變種として發現し昭和7年春F2或は戻雜種の形で多數分離せる時代に發見されたもののようである。
7. 短節蠶の因子記號は Compress の意味からcpとして“SIS” (1947) の2號に發表して置いた。
著者関連情報
© 日本遺伝学会
前の記事 次の記事
feedback
Top