遺伝学雑誌
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Descriptive and experimental cytology in Allium, 1
The formation of micropollen grains, with some notes on spontaneous chromosome aberrations in Allium odorum
Yukio Kato
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1952 年 27 巻 5-6 号 p. 148-156

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抄録

ニラ (Allium odorum) の花粉形成時において細胞質に存在するフオイルゲン陽性小体が研究された. この小体は橢円形又はリング状で一細胞当りの出現する数は1~7でその大いさは2.3~5.8μ (平均3.9μ) である. 一核性花粉粒及び二核性花粉粒の時期を除いてこの小体をもつ細胞の出現頻度は調査した細胞の約6.7%に当りほゞ一定している. 花粉形成に当りこの小体は母細胞から分離された小形花粉粒 (Micropollen grain) の核として存在する. この小体をもつ場合は花粉粒の核の分化が著しく遅れることがある. 従つて正常な花粉形成にはこの小体は障害物となるように思われる. この小体の出現は減数分裂の異常性とは全く無関係である.
一つの葯における分裂相の同時性と染色体切断, 分裂相の非同時性とその他の異常 (例えば非対合, 遅滞染色体, 多核性細胞形成等) とは互に密接な関係がある. おそらく染色体切断とこれらの他の異常とは互に別な機構によつて出現するものと考えられる.

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© The Genetics Society of Japan
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