遺伝学雑誌
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禾穀類の核形態学
第4報 野生大麦に関する研究
生沼 巴
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1953 年 28 巻 3 号 p. 92-104

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抄録
1) 野生大麦12品種について細胞学的に研究をおこない, 染色体数, その形. 減数分裂における対合の有様を明かにし, 核型の系統も論じた。
2) Hordeum agricrithon の核型を明かにし, これを a1a1 (又はa1) 型とし, 大麦における核型分析の基準とした。
3) 本研究で明かになつた核型は次の如くである。
次表中a1は長腕端部に第二次狭窄をもち, a2はこれをかき, asはこれが深部にある。これらの核型の進化を a1a1→a2a2→a3a3 の如く考える。
4) 四倍性野生大麦は, 核型では同質倍数性と同様な染色体をもつも, 減数分裂における四価染色体の出現は極めて少く, 染色体の倍加後において, 二倍種的ゲノムの要素をもつに到つたと考える。
5) 野生大麦における核型が明かになつたことは, 栽培大麦の核型研究に重大な役割を果すものと思う。
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