抄録
純系として確立していない So 系マウスに生じたMYマウス肉腫の移植に関与する遺伝的要因について調査した。F1 及び退交雑の移植実験からこの腫瘍の移植には, 2つの優性遺伝子 (H-遺伝子) が関与していることがわかった。このH-遺伝子はS及びD両系 (北大で純系繁殖された) に高頻度に存住しているが, アメリカから輸入した諸系統には存在していない。
移植が完全に成立した腫瘍を結紮除去した後, 同一腫瘍の再移植実験を行った, 腫瘍を結紮除去した場合のマウスには, 再移植の成立をさまたげる抗体の生産があった。この結果は近親交配系の腫瘍の場合と明らかに異っており, H-遺伝子の外に再移植をさまたげる遺伝的要因も関与しているのではないかと想像された。