遺伝学雑誌
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家蚕における同類対立遺伝子の研究
第II報 家蚕の+w3遺伝子座位における同類対立遺伝子
吉武 成美
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1958 年 33 巻 4 号 p. 102-106

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抄録
カイコの卵は普通藤鼠色を呈するが, 所謂正常卵色といわれるものの中で漿液膜の色が濃いもの或は淡いものがある。このような差異を示す原因は, 卵色色素の基質としての3•hydroxykynurenine 量に多寡があることと, それに作用する酵素作用に強弱があるためである。著者は多くの正常卵色系統について, この酵素作用を支配する遺伝子の分析を行った結果, +w3遺伝子が正常卵色の表現型の変異に最も重要な働きをなしていることを明らかにした。w3遺伝子座位或はその附近には数種の+w3同類対立遺伝子が存在し, その作用は量的に多少異なる。正常系統における漿液膜の色調に差異を生ぜしめる原因の1つは, この+w3遺伝子の相違によるものであると考えられる。
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