遺伝学雑誌
Online ISSN : 1880-5787
Print ISSN : 0021-504X
ISSN-L : 0021-504X
ウニ卵の分裂裝置に対するデメコルチンの影響
小林 直正
著者情報
ジャーナル フリー

1958 年 33 巻 9 号 p. 286-295

詳細
抄録
ウニ卵の核分裂のいろいろな時期にデメコルチン処理を行い, 分裂装置の破壊によって割溝の形成がどのように影響されるかしらべた。
核分裂の前期, 中期に作用させた場合には卵割が起らないのに反して, 後期の始めに未だ卵が球形である時期に作用させた場合は, 星糸が間もなく消失するにも拘らず, 未だ消失するに至らない紡錘体は伸長し卵は楕円形に変化し, 割溝を生じて正常の卵割が行われる。終期に作用させても正常な卵割が行われる。
後期は星糸が最もよく発達して細胞質を充す時期であり, この時期以後にはデメコルチン或はコルヒチンによる卵割抑制效果があらわれないことは, 卵の二極性の表層に対する伝達がこの時期に行われ, 一度伝達によって生じた表層の変化は, これらの薬剤によって消されないことを意味するのであろう。
著者関連情報
© 日本遺伝学会
前の記事 次の記事
feedback
Top