遺伝学雑誌
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細菌の細胞学的研究
3. Bacillus megatherium の核および核の融合
平野 正
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1959 年 34 巻 3 号 p. 88-95

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抄録

1. Bacillus megatherium の核は休止核では高等生物と同様に球形であり, 分裂像では2個の染色体様顆粒が, じゆず状に連なっている。したがって染色体数はn=2であるらしい。核の数は定常期において1細胞1核である。
2. 核の融合を位相差顕微鏡によって連続的に観察することができた。すなわち核の融合のおこるときは, 菌は小さな細胞に分裂する。この小細胞には2個の染色体様顆粒がみられる。この染色体様顆粒は20分で娘核を形成し休止核になる。休止核をもった小細胞はたがいに隣り合う細胞の間で融合をおこなう。核は休止核のまま隔膜をへだてて, 原形質様の連絡によってつながり, 菌体の長軸に平行に円筒状の融合核をつくる。融合核の形成とともに隔膜はみられなくなり1個の大形細胞になる。
この現象は autogamy と考えることができる。核の融合に要した時間, 染色体様顆粒が休止核を形成する時間はいずれも20~30分である。

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