1959 年 34 巻 6 号 p. 195-200
1. キイロショウジョウバエ Drosophila melanogaster, Oregon RS 系統, を暗黒中で38 代飼った後, ふつうの日週期的光条件のもとへ返し, 引続く29代の間, 光に対する反応行動を数代おきに試験し, その結果を, ふつうの光条件のもとで飼ってきたものと比較した。
2. 20分間暗黒に適応して後平行光線にあてると, 暗黒生活の履歴をもつものの方が鋭敏 に反応して光源に向う。このばあい, ♂では Phototaxis と photokinesis が共にはたらき (前者がやや強いらしい), ♀では主として Phototaxis がはたらいている。
3. この差は, ♂では少なくも20代ごろまで, ♀では少なくも10代ごろまで, その傾向 が一定している。したがって遺伝的な性質の変化であると認める。
4. 表にみられるように, 得られた数値に累代的な大幅の変動がある。その原因に, 個体群内部の生理的な性質の定向的長期変動を考慮に入れる必要がある。ただしこの事実は上の主要な結論に影響を与えるものではない。