抄録
クルマバツクバネソウの還元分裂を低温または高温の条件で進行させ, その第一中期における染色体の形態的変化を観察して次の結果をえた.
1. 0°C の低温処理では真正染色質部分と異質染色質部分に相違が現われた. 前者はラセンの直径の増大に伴う長さの短縮が, 後者はラセンの直径の減少に伴う長さの伸長が見られた. すなわち, 還元分裂染色体においても体細胞染色体と同様, 低温処理によって真正染色質部分と異質染色質部分を区別できることを実証した.
2. 20°Cの高温処理の場合には染色体は対照区のものよりやや伸長する傾向が見られたが, 真正染色質部分と異質染色質部分の相違は現われなかった.