遺伝学雑誌
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淡水産プラナリアの一種, トウホクコガタウズムシPhagocata teshirogii の核型ならびに再生片の新生細胞における染色体変異
手代木 渉佐々木 俊一
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1977 年 52 巻 5 号 p. 387-396

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抄録
1) 淡水産プラナリアの一種, トウホクコガタウズムシ Phagocata teshirogii の核型ならびに再生片の新生細胞における染色体変異について, おしつぶし法によって調べた.
2) 再生片の新生細胞は, 基本的には2n=24で, 大形染色体1対, 中形1対, そして10対の小形染色体からなり, 第1, 3, 6, 8, 10染色体の5対が中部着糸型染色体で, 第2染色体が次端部着糸型染色体, 他はすべて次中部着糸型染色体である.
3) 卵母細胞と精母細胞の減数第1分裂の前期あるいは中期の像で, 12個の2価染色体が認められた. 生殖細胞形成中の減数分裂では染色体数の異常は認められなかった.
4) 再生片の新生細胞では染色体数の種々の変異が観察された. この結果からプラナリアの核型分析は新生細胞だけの観察では慎重さを要することを指摘し, さらに, この変異をおこす原因とその異常細胞の再生に果す役割について論議した.
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