1932 年 7 巻 4 号 p. 188-193
以上述べた所を要約すると大要次の如くなるであらう。
イ、自家受精を妨げる物質は明に自家不和合のペチユニヤの雌蘂中に存在する。
ロ、此物質は自家の花粉に對しては抑壓作用を呈すると同時に他系統の花粉に對しては刺戟作用を及ぼす。
ハ、此物質は主として子房内で出來、其所から雌蘂の上方へ昇つて行く。
ニ、此物質は樹勢の弱い時、老衰した時等には其力が弱い。
ホ、植物體が高温に栽培されると此物質の力が強まる。
ヘ、此物質は水に溶ける。而してゼラチンを浸透する事が出來る。
ト、乾燥した雌蘂の粉末や雌蘂組織の水浸出物を乾燥した中にも此物質は其力を保つて居る。