日本護謨協會誌
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有機促進劑の本性に關する研究 (第20報)
有機促進劑の檢出並に分析に關する研究 (第8報) 有機促進劑の新呈色反應に就て(其1)
島田 慶一
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1937 年 10 巻 8 号 p. 533-537

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抄録

本研究は、著者が既に發表したる、オレイン酸コバルトに依る呈色反應を利用せる有機促進劑の組織的識別法の不備なる點を補足し、愈ゝ完璧なるものとなさんとする目的の下に遂行せられたるものにして、本報文に於ては、市販有機促進劑28種とオレイン酸銅との呈色反應に就き、研究實驗せるところを記載せり。其要旨次の如し。
(1) グアニヂン系、チオユリア系、チアーゾル系及びヂチオカーバメート系の各促進劑は、オレイン酸銅と夫々特有の有色分子内錯鹽を形成する性質を有し、此際の各呈色反應は、既報オレイン酸コバルトの場合と同樣に、有機促進劑の組織的識別の手段として滿足に應用することを得べし。
(2) チオユリア類とオレイン酸銅との呈色反應は、本化合物の鋭敏なる新檢出法として採用し得べし。
(3) グアニヂン系促進劑中、トリフェニルグアニヂン、ヂフェニルグアニヂン及びヂオルソトリルグアニヂンの3者は、オレイン酸コバルトに依りては、呈色反應的に相互識別すること困難なれども、此場合オレイン酸銅に依る呈色反應を利用すれば、比較的容易に3者を識別することを得べし。

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